黄昏を往く君は


 洞穴の中のようだ。
 乾いた地面の上に私はあおむけに寝かせられていた。
 上半身の衣服は脱がせられ、治療の痕跡があり、私の青い軍服の上着が掛けられていた。頭の下には畳まれた軍服。その色は――赤。
「目が覚めたか」
 若い男の声が斜陽の差し込む方向から聞こえた。
 顔を傾けさせてそちらを見ると、先ほどのチョコレート色の双眸の青年が立っていた。
 交戦する気は起きなかった。
 死を受け入れてしまったせいだった。
 だるくて、なにをする気も起きない。私はぼんやりと青年を見つめた。
「寝ぼけてんのか? まあ、血を流しすぎてたからな。仕方ないか」



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