黄昏を往く君は
「……あなたは、赤の国の人ですか」
少しして、私はかすれた声で訊いた。
「そうだ。……でも分かってんだろ? その軍服の色でさ」
青年は、私が枕にしていた上着を指差した。私は改めて警戒するようなふりをしたが、青年は薄く笑っているだけだった。
「俺は碧だ。王偏に白に石って書いて、あおい。君は?」
「……茜、です。草偏に西」
「変な名前だな。茜って赤色のことだろ? 青の人間は赤が嫌いなんじゃないのか」
碧が訊いてくる。
捕虜に対するには、馴れ馴れしすぎる気がした。