黄昏を往く君は
私は深い傷を負った。
相手は少年兵だった。
か細い腕で、サーベルを握っていた。
浅黒い肌。黒い大きな目。
色彩が違う。血と雨とに濡れた赤の軍服。それなのに、非業の死を遂げた少年たちの笑顔が、苦悶の顔が――色素の薄い混濁した目で私を見つめ、痩せ細った手を私に向けて伸ばし、
――たすけて。
死んでいった――私が殺した――少年たちの顔が脳裏をかすめ、そして赤の少年兵の鬼気迫る幼顔に重なり、――身体が震えた。
私の中に封じ込めていたものが目を覚まし、叫びはじめる。
――嫌だ、殺したくない。
動きが鈍る。
私は少年兵のサーベルを胸に受けた。
血が散る。
全身に走る痛み、心臓を直接叩かれたような衝撃。
――高貴な青が穢れる。
私はすぐに私を、兵士としての、兵器としての、ロボットとしての、冷徹で強靭な私を取り戻し、赤の少年兵を斬った。