異世界☆トリップ
ラウンド0
はじまり
「ラルカ」
「……」
「なぁ、返事をしてくれよ」
「……」
「俺を置いていくな……」
「……」
あたりは恐ろしいほど静まり返り、物音ひとつ聞こえない。
空気も冷えきり、男の吐息は白く霧になって消えた。
男は、すでに冷たくなっているその恋人を強く抱きしめた。
「どうして、どうしてラルカがこんなことに……っ」
硬く握りしめた拳は血の気が引き、きつく噛みしめた口元は血がにじんでいる。
男は懐から短剣を取りだした。
「ラルカ待ってろ、今いくからな」
そういうと、短剣をスッと自分の首元にもっていった。
ガキン!!
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