brass band
一章 小学校

入部Ⅰ

 私には、三つ年上の兄がいる。
 兄はいつでも優秀で、何をやっても常に完璧な人だ。
 秀でた才能の一つもない私は、家族の中でガラクタ扱い。
 あってもなくても変わらない。いてもいなくても変わらない。という意味だろう。
 私が小学校を入学した頃、兄は小学4年生になった。
 そして、兄は吹奏楽部に入った。
 私の学校では、一年生からの入部はできなかった。
 とは言え、6歳7歳児の子供が、楽器を吹くと言ったらなかなかあり得ない話だとは思う。
 しかし、だ。
 私は翌年、小学二年生で吹奏楽部に入部することにした。
 決めた理由はと言うと、ほんの対抗心だった。
 兄に勝ちたい。
 家族に認めてもらいたい。 
 出来ることを証明したい。と。
 それ一心に入ったのだ。
 もともと、音楽はすきだし、我ながら音感はいい自信があった。
 自分なら出来るという強い対抗心と、知らない人とやれるかというほんの少しの不安。
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