brass band
『……ふー』
ようやく上り詰め、親父のように息を吐く。なんとも情けないが、仕方ない。運動不足なんだし。
『1-3……ここk『おー!渡瀬じゃん!おはようー』
見事に独り言に被せてきた人物は……と。
『あぁ、和樹。おはよう』
斉藤和樹。
頭の出来はいい方なのに、人付き合いが下手くそ。それでいて私とはよくつるむ意味のわかんない人だ。
『中学生だなー』
『そりゃ、今日入学式だし……馬鹿なの?』
『渡瀬よりは頭いいよ』
『……死ね』
ガララっ
癪に触ることを言ってきた和樹に対し、冷たい言葉を返し、小学校の頃にはなかった教室のドアをあける。
後ろから聞こえてくる和樹の『酷い!音本冷たい!』とかいう言葉をガン無視して、和樹が入ろうとしてくる時に、ドアをしめる。
『やっほー花!相変わらずドライだね〜』
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