brass band
教室に入るなり、あだ名で私を呼ぶのは、榊友花。
よかった、普通に話せる人がいて……。と思いながらも友花だってドライだが、本人には言わないでおくのがいいだろう。
『おはよう。あれは和樹がわるかったんだよ』
ドライだと言われたのは、恐らく和樹のことと判断し言葉を返したが
『あ、さっきのじゃなくて、教室に入る時の顔だよ』
と言われ、どうやら違ったらしい。むしろ和樹のことであってくれた方がまだよかった。
『そう?顔はいつも通りじゃない?』
『いや、うん。だから相変わらずドライだねって言ったんだよ』
『そんなドライかな?』
『まぁ、内面を知ってればそうは思わないんだけどね、外見だけだとだいぶ怖い顔してるからね』
『そーそー!本当に渡瀬怖い』
またも後ろから声をかけてきた和樹。
いつの間に教室に入ったんだ。
というか、他の生徒……っていうか他校から来た人が凄く見てるんだけど。
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