brass band
何も言われる前のように、フレンドリーに話しかけたくなる。それが和樹の目的なのか知らないが、文句を言われて中学校生活を棒に振るうなんてごめんだ。
もともとそんなにモテる方じゃない私と、モッテモテの和樹とじゃリスクが違う。
つまり、私の作戦としては、和樹とはあまり話さないようにしようということだ。冷たくあしらえばきっと大丈夫だと思っていた。
思っていたのに、いきなりなんだこのアクシデント!最悪すぎる。私何かしただろうか。
『……はぁ』
頬杖をついてため息を漏らす。
【渡瀬】というわけで番号は最後。もちろん席も一番後ろ。
目が悪いことを伝えておいたおかげか、1人席ではなく、三人席になっている。
それが仇となったのだろうか。
あぁ、斜め前にいるとか、最悪だ。
嬉しいが、うれしくない。
『ちょ、渡瀬って……本気で俺のこと嫌いなの?』
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