brass band
『翔汰!』
 掻き分け掻き分けて来た先には、愛しの翔汰くん!!
 というか、後ろを振り返れば彩ちゃんは遥か後ろでもみくちゃになっている。
『翔汰…三組なんだね?』
『あぁ、花は二組だったな』
 自分で見るよりも早く伝えられた。
『翔汰…と…クラス違う…うぅ』
 その事実が、何より涙がでそうだった。
 今日から、おはよう!っていってくれる翔汰がクラスにいない。
 あぁ、ヤバイほんとに泣きそうだ。
『あ、彩ちゃんや仁美ちゃんは何組かな…みてくるねー』
 その葛藤を知られないようにと、笑顔を必死こいて作りその場を離れた。
……………………
 あちこち高い壁が…。
 チビの身にもなってほしい。
 あ、チビじゃないけど。
『…あ、やべぇ…クラス違うじゃん』
 独り言のようにポツリと私は呟いた。
 彩ちゃん、仁美ちゃんは一組。
 というか、一組に吹部が多すぎる。
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