あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
クレアに、そんなことが……。
この前、クレアとお風呂に入ったことがあった。
そのとき、ちらりと見えてしまったクレアの背中を埋め尽くすような、痛々しいみみずばれのような傷痕。
けれど、なぜかクレアにそのことを聞くことができなくて。
でも、それはこういうことだったんだね。
クレアのその小さな背には、本当にたくさんのことを背負ってたんだね。
あたしには、計り知れないほど大きなものを。
あの悲しい笑顔の裏にはそんなものが隠れていて、ショウが目覚めたことにより、ようやく安心して笑うことができたんだ。
クレアたちはこのまま、幸せになってほしい。
もう二度とそんな悲しいことが起こらぬように。
あたしが皆を守れるくらい強くなりたい。
中庭についてお喋りしていると、それほど経たないうちに、クレアとショウは中庭に現れた。
「それで、任務というのは?」
「ああ、そうだったね。クレア、今ウェズリアでとある事件が多発してるの、知っているでしょう?」
「使い魔が行方不明になっているとか、なんとかいうやつですよね」
おお、さすがクレア。
情報が早いですねー。
でもどれもまだ噂に過ぎず、詳しいことを知っているのは軍の上層部だけだと思ってたけど、それなりに頭の回る人には伝わっているらしかった。
「それで、カカオにさっき頼まれたの。この事件について調べるように、って」
「カカオ国王が?」
「だから、よければクレアにも手伝ってほしくて……」
「私ですか!?」
クレアは素っ頓狂な声を出した。
そんなに驚かなくても。
「私など、まおさんのお役に立てるかどうか……」
「クレアがいてくれれば百人力なんだけど……」
あたしはクレアの能力の高さを買っている。
もっと大きくなれば最強魔術師になることだろう。