あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]



 さて、と。

 カラムの残った木の棒を、カラム用の回収箱に捨て、あたしたちはようやく中断していた任務に戻った。

 カラムで気合が入ったあたしたちは、その後どこにも寄り道せずに、城下町を抜ける。

 向かうは、城下町の端の生け垣の近隣付近。

 そこで女の子のうさぎの使い魔をさいきん目撃しないという情報があった。

 その女の子にいろいろ聞いてみよう。

 あたしたち一行は、珍しいためか、周りの注目を浴びながら、ゾロゾロと女の子の家へと向かった。

 あたし、クレアを前にしてクコ、シュガー、ショウは一歩下がったところで控える。

 厳密にいえば、三人は軍籍を持っていないからだ。

 三人は軍に属するあたしたち主の使い魔と侍女であって、彼ら自身は軍人ではない。

 これは軍の任務となるため、あたしたち二人が、主に活動するのだ。


「失礼いたします」

「あなたたちは……」


 コンコンと木のドアを叩くと、お母さんらしき髪の美しい女性が中から現れた。

 どこか、やつれて見える。

あたしは胸に付いている軍所属の証であるバッチを見せる。

 彼女の顔を正面から見据え、頷くとこわばっていた女性の顔が少しだけ和らいだ。


「今日は使い魔のことについて、お話を聞きに来ました」

「軍の方々……」

「使い魔に今起こっていることを、私たちは調べているんです。早く原因を究明するためにも、どうかお話ししていただけませんか?」


 クレアが、女性に歩み寄り、手を柔らかく包み込み、優しく言った。


「わかりました」


 クレアの思いが伝わったのだろう。

 すると、女性はゆっくりと頷き、部屋の中へと招き入れてくれた。




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