あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]



 部屋に入ると、居間に通されそこにはあたしと同じくらい、いや、少し幼いくらいの女の子がソファに座っていた。

 どこか、目がうつろで、今にも崩れ落ちてしまいそうなほど、弱々しい。


「ほら、ミムロ。軍の方々がわざわざ来てくださったわよ。ラッキーを探してくださるんですって」


 お母さんが、女の子の肩を揺さぶり、優しく声をかける。

 ミムロというのが、女の子の名前らしい。

 そして、ラッキーというのが使い魔の名前だろう。

 けれど、お母さんがいくら声をかけても、ミムロちゃんは反応を示さない。

 まるで、ミムロちゃんは殻で、中身がないようだ。

 ミムロちゃんが、こんな状態なのは使い魔と“心”が通じていないからだ。

 あたしたち、魔法使いは、使い魔がいて一人前だ。

 使い魔がいなければ、落ち着かないし、使い魔がケガをすれば、同じ痛みを味わう。

 そして、その“心”が感じ取られないと、心も身体も、どこかぽっかりと穴が空いたような感覚に陥る。

 なにも、やる気が起きないのだ。

 もう、絶望感しか、感じない。

 世界が、色を失う。

 まさに魂の半身。

 それほど、大きな存在。



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