あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
「あの……ミムロちゃん?」
まずはあたしがミムロちゃんに近寄った。
床に膝をたててしゃがみ込み、彼女と目線を合わせる。
声をかけるとかすかに、ぴくりと四肢が動いた。
「……あなた、は?」
長い時間をかけて、ようやくミムロちゃんは顔を上げ、あたしを見つめる。
その瞳の光は弱々しいけれど、しっかりとあたしを見ていた。
「あたしは、魔女の麻央。使い魔が行方不明になる原因を突き止めて、使い魔を見つけたいの。だから、お願い。使い魔がいなくなったときのことを、教えてくれる? ゆっくりでいいから……」
ミムロちゃんは、しばらく動かなかったけれど、母親の顔を見上げ、母親が強く頷いたのを見届けると、ようやく少しだけ、首を縦に振った。
そして、ゆっくりとそのときのことを語り出した。