あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
「なんか、この前と同じ場所に思えないや」
「ふふふ。前のこの部屋の内装は悪趣味だったでしょう。私の好みじゃないもの。10分も居られないような空気だったしね」
ゴッテゴテの王族って感じの贅沢の限りを尽くした王の間。
紗桜の悪趣味って言葉がぴったりだ。
小説で読んでたあたしは王の間なんて想像でしか知らなかったけれど、ウェズリアの王の間を見て豪華だなぁって思ったのに。
オスガリアの王の間をみたら、ウェズリアはシンプルだったんだなぁ、センスいいなぁって思ったもん!
まぁ、オスガリアはザ・王族の部屋!って感じがしたけどね……。
「それで、麻央は用があってきたんでしょう?」
紗桜の声に、あたしは身体を離して頷いた。
互いに真剣な表情に戻り、親友から一国の王と隣国の魔女に戻る。
「ゴメン、結構重要な話なの。だから……」
「わかったわ」
すぐにこちらの意図を読み取った紗桜は、パチンと指を弾いた。
すると、部屋にいた数人の侍女や執事が部屋を一礼して出ていく。
一瞬にして、この部屋にはあたしたちと紗桜しかいなくなった。
そして多分だけど、この部屋に軽い結界を張った。
ここの人たちがそんなことをするとは思えないけど、会話を聞かれないためだ
あたしは紗桜と向き直り、クレアたちはあたしたちから一歩引いたところで待機する。
「それで?話というのは?」
「……紗桜は知ってる?今ウェズリアで、使い魔が行方不明になる、っていう事件が起こっているの」
「使い魔が?」
「それで、いろいろと調べて……そしたら、ルクティアと関係のありそうなものが出てきたの」
結界の模様、使い魔がいなくなった状況、クレアから聞いた情報……。
知っている限り、全てを話した。
「そんなことが……?」
話を静かに聞いていた紗桜は驚きを隠せないようだった。