あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]


「私も魔力を持っているから、使い魔はいるわよ。少し、変わっているけれど」


 そういった紗桜がパチンと指を鳴らすと、光の玉が現れて、その中から光につつまれたなにかが出てきた。

 それは、ゆっくりと翼を広げた。

 紗桜と同じような、真っ白い一点の曇りもない純白の翼を。


「紹介するわ。彼女は、私と同じ。ルクティアの者で、〈始まりと破壊の神〉 ルクレーシャ・イヴ・ギネヴィア。私の使い魔として、また護衛としていてもらってるわ」

「私はルクレーシャ・イヴ・ギネヴィア。 〈始まりと破壊の神〉 サクラの護衛をしているわ」


 そういって、お辞儀をしたのは。

 サラサラ、つやつやの毛並みを持つ、ペルシャ猫。

 真っ白な毛並みは、翼と変わらない。

 ルクレーシャは、翼で宙に浮いたまま、微笑んでいる。

 いや、猫が微笑んでいる、というのも、おかしいかもしれない。

 けれど、微笑んでいるのだ。

 口角をあげて、目を細めて。

 そして、使い魔の声は術者にしか聞こえないはず。

 けれど、しっかりとルクレーシャの声は聞こえて来る。


「あの、どうして普通に私たちは会話ができるんですか?」


 そう言ったのは、あたしと同じ疑問を持っていたらしいクレアだった。


 
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