あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
「クコ……」
止めようとするあたしをよそに、クコは紫色の光を放つ、魔法陣に近づいた。
「だって、サンは私の……パートナー、だから……」
クコ……。
「だから、私が行かなくては……」
ズルリと、力が抜け、クコはその場に崩れ落ちてしまう。
あたしは慌てて彼女を支えた。
クコの気持ちは痛いほどわかったよ。
でも、このままじゃいくらあたしでも連れていけない。
一体、どうしたら……。
「それなら、仕方ないわ」
バサリと翼がはためく音がした。
後ろを見れば、そこには不敵に微笑むルクレーシャがいる。
ペロリと、赤い舌が鼻を舐めた。
「特別に、私が連れていくわ。連れていくけれど、私に従ってもらう。それでもいい?」
「は……い……」
「それじゃ」
ルクレーシャは、顔を後ろに回すと自らの翼を口でくわえ、一枚抜き取った。
そして、それにふぅ、と息をかける。
すると……。
「んん……」
クコが小さく身もだえしたかと思うと、クコを柔らかな光が包み込んだ。
そして、次の瞬間。
そこから、クコの姿は消え去った。