あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
景色が変わり、肌で感じる空気がひんやりとする。
魔法陣は宙に浮いたところに発現していたようで、あたしたちは、ストッと飛び降りた。
霧が出ているかのように、ぼんやりと霞んだ景色。
なにもない。
ただ、遠くに木があることを感じる。
周りに皆はいない。
先に行っちゃったのかな。
「どうやら無事についたようね」
ルクレーシャが優雅に宙に浮いて辺りを見渡す。
とても強く、澄んだ魔力を感じる。
ここが、〈千年霊木〉……。
歴代の聡明な魔術師たちの魂が眠る場所……。
ここのどこかに、サンがいるかもしれないってことだよね。
「クコ、大丈夫?そして、サンはいる?」
「はい……います」
「じゃあ、行こう」
とりあえずあたしたちは、前に進むことにした。
「おーい、クレア~、シュガーぁ」
どこ?
魔力を集中して辺りを捜索してみるけれど、ここは魔術師の魂があるからなのか、ぐちゃぐちゃと魔力が絡まりあっていて全然見つけられない。
しかも、ここではアカシは完全な〈千年霊木〉となってしまうためか、杖からは何も感じず、気配もこの一帯に散らばっているため、意思疎通が困難だった。
もちろん、サンのことも……。
今頼りになるのは、クコのサンとの繋がりだけ。
でも、それもいつまでもつか……。
治癒魔法を使えるのはクコだけだし、自分自身に魔法をかけることはできない。