あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]



 景色が変わり、肌で感じる空気がひんやりとする。

 魔法陣は宙に浮いたところに発現していたようで、あたしたちは、ストッと飛び降りた。

 霧が出ているかのように、ぼんやりと霞んだ景色。

 なにもない。

 ただ、遠くに木があることを感じる。

 周りに皆はいない。

 先に行っちゃったのかな。


「どうやら無事についたようね」


 ルクレーシャが優雅に宙に浮いて辺りを見渡す。

 とても強く、澄んだ魔力を感じる。

 ここが、〈千年霊木〉……。

 歴代の聡明な魔術師たちの魂が眠る場所……。

 ここのどこかに、サンがいるかもしれないってことだよね。


「クコ、大丈夫?そして、サンはいる?」

「はい……います」

「じゃあ、行こう」


 とりあえずあたしたちは、前に進むことにした。


「おーい、クレア~、シュガーぁ」


 どこ?

 魔力を集中して辺りを捜索してみるけれど、ここは魔術師の魂があるからなのか、ぐちゃぐちゃと魔力が絡まりあっていて全然見つけられない。

 しかも、ここではアカシは完全な〈千年霊木〉となってしまうためか、杖からは何も感じず、気配もこの一帯に散らばっているため、意思疎通が困難だった。

 もちろん、サンのことも……。

 今頼りになるのは、クコのサンとの繋がりだけ。

 でも、それもいつまでもつか……。

 治癒魔法を使えるのはクコだけだし、自分自身に魔法をかけることはできない。



< 43 / 87 >

この作品をシェア

pagetop