あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
新感覚な力……。
違和感が、全身を撫でる。
あたしの質問に、勿体ぶるように、芝居じみた様子でその者は語る。
「どうしてここに入れたのか、ですか」
「そうよ。まず、貴方はこの国の者ではないと言ったわね。その時点でこの国の国土を踏んでいることがありえない」
基本的に、この国には、国民以外入ることはできない。
あたしの張った防御結界もあるが、なによりアカシの張り巡らされた魔力の蔦が国土を踏んだ瞬間に感知し、この国から弾き出そうとするだろう。
しかも。
「ここは普段立入禁止のはず。王族さえ、容易に入ることを許されていない。それに強固な結界がある。なのに、なぜ……」
「目的は、同志を助けるため、ですかね」
ククク、と男は肩を震わせて笑う。
答えになど、なっていなかった。
同志?
それが、ここになんの関係があるの?
「それに私がどうしてここに入れたのか、それは一番そこの〈始まりと破壊の神〉がわかっているでしょう」
男はルクレーシャを指した。
ルクレーシャは、怪訝そうな顔でバサリと翼をはためかせる。
「私?」
「ええ。だってあなたは、私と『同じ』だから」
その表情は醜く歪んでいる。
男の言葉にルクレーシャは少なからず不快感を感じたようで、ますますその眉根を寄せた。
「私が、あなたと同類?何を言っているの」
心底軽蔑した、と言った様子で言葉を吐き捨て、その美しい造形を歪め、侮蔑の視線を男に送る。
けれど次の瞬間には口もとに笑みを浮かべていた。
「それに、ずっと隠しつづけるつもりかしら」
「ルクレーシャ?」
あたしが彼女に問いかけた刹那。
ルクレーシャは突如電光石火の如く、突進した。