あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]



 だったら、近距離しか……。

 
「私を捕らえる、面白いですね」


 男は笑いながら、次の攻撃に備える。

 そして、彼の後ろに突然黒い光が現れた。

 
「私があなたを捕らえてあげましょう!」

「させない!」


 魔法陣を構え、雷龍を放つ。

 雷龍は牙を剥きだし、火花を散らし男を捕らえようとする。

 しかし。


「──甘い」

「えっ」


 気づいたときは遅かった。

 雷龍を突き破り、目の前に黒い光が迫る──。


「きゃ──」


 あまりの閃光に思わず、目を閉じてしまう。

 光が当たり、炸裂する。

 けれど、痛くない。

 男は面白くない、と言った風に肩を竦めた。


「──やはり、あなたですか」

「そうよ。主(あるじ)の親友を傷つけたら、サクラに怒られちゃうわ」


 そういって、バサリと羽ばたいたのは。

 あたしの前にいつの間にか来ていたルクレーシャだった。


「私があなたを捕らえて、サクラに預けましょう」


 ルクレーシャは不敵に微笑むと、あたしに小さくなったクコを渡す。



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