あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
「まお。あなたは隙を見てクレアを助けて。この男は、私が止める」
「でも……」
「あなたは天力を持っていないわ。いくら魔力を持っていても、天力を持っていなければ、なにもできない」
「それは、そうだけど……」
これは、あたしの仕事。
この国に、どんなものであれ、侵入者を許してしまった。
本来なら、許されない。
「あなたの気持ちもわかるわ。でも、ここはクレアを助けることだけを最優先に考えて。もし、あいつを逃してしまったとしても、クレアが助かればいいわ。心配しないで。大丈夫よ。これでも〈始まりと破壊の神〉って言われてるんだから」
パチン、と白いペルシャ猫はウインクをすると、男と向き合った。
わかったよ、じゃあ、ルクレーシャ。
お願いね。
あたしはクレアを救出する!
ニタニタとあたしたちの様子を眺めていた男はより一層笑みを深める。
「話は終わりましたか?それでは、行きますよ」
男の背後にまた凄まじい力が沸き起こるのがわかる。
けれど、ルクレーシャは微笑むだけだ。
大丈夫。
あたしはクレアを見上げた。
待っててクレア。
今助けるから!