あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]


 クレアは高い杉の木にくくりつけられているようだ。

 とりあえず、なにかしらの術はかけられていないようだけど……。

 あたしは空間にいくつもの魔法陣を出し、それを階段のようにして空間を駆け上がっていく。

 シュガーがいれば、サッと上まで行けるのに……。

 シュガーはどこにいるの?

 そんな考えが浮かんで、飲み込んだ。

 今はクレアを助けることだけを考えないと。

 シュガーのことは、後だ。


「あなた、本当はなにが目的なのよ」


 ルクレーシャが男に語りかける。

 話しかけながら、ルクレーシャの後ろから刃と化した羽根が男を襲う。


「それは先程も言ったように同胞を助けるため……けれどあなたたちには言ったほうがよさそうですね。でも、その前に……」


男の視線がこちらに向いた気がした。

意図に気づいたルクレーシャが叫ぶ。


「……ダメ!」

「え──」


けれど、もう遅い。

 あたしに向かって、天力の塊が投げつけられた。


「せっかくの人質を簡単に奪われてはいけないですから」

「くっ……」


 防ぐ間もなかったあたしは、モロに攻撃を受けて、宙に投げ出された。

 
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