あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
「まお!」
ルクレーシャの鋭い悲鳴が耳をつんざく。
視界がくるくると変化していく。
いつもこんな時、助けてくれるシュガーはいない。
魔術を発動させようにもこんな体勢、状況ですぐに行動出来ず、なすすべもなく、あたしはドシャッと地面に落ちた。
い、たい……。
視界が一瞬、真っ白になった。
油断、してた。
そうだ。
あいつは得体の知れないもの。
なにをしてくるのかわからない。
実際、魔力で練り上げた防御結界の鎧がうまく作用しなかった。
天力はあたしの知らない分野。
いつもより、警戒しなければならないのに。
「あたしは、大丈夫……」
ルクレーシャに向かって声を出しても、痛みからか、掠れた声しか出てくれない。
防御結界はさっきの攻撃と、地面に落ちた衝撃で、だいぶ傷ついてしまった。
もう一撃されたら、もつかどうか……。
今は張り直している余裕はない。
数秒で張ることができるといえど、今はその数秒が命取りだ。
なんとか立ち上がると、ルクレーシャは安堵の表情を見せる。