あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]


「そういえばまお様」


 クコが何やら真剣な表情を浮かべ、拳にした右手を開いた左手にポンと打ちつける。


「最近ウェズリアで事件が起こっているのを知っていますか?」

「事件?」


 あたしの仕事は王族の護衛、この国の守護だ。

 王族直属軍隊所属魔術師隊の一員で、護衛部隊に当たる場所に所属しているあたしは、定期的に軍に出入りしてこの国の情報を入手している。

 護衛隊といえど、常に王の側に控えているわけではない。

 あたし以外にも護衛隊はいる。

 エディさん率いる第一部隊とフランさん率いる第二部隊で構成されている。

 普段は交代で王の護衛についているのだ。

 交代の時にあたしは必ず立ち会う様にしている。

 そのとき、エディさんとフランさんと情報を常に交換することにしていた。

 そんなあたしの耳に情報が入っていないなんて。

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