あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
「だって、偶然でこんな同時にこんな事件が起こると思う?……わからないけれど、確かに言えるのはルクティアがなんらかの形で関係しているということだわ……!」
ルクティアが……。
確かに、二つの事件はそれぞれルクティアが関連していることは間違いようのない事実だ。
そう言われて、すとんとふに落ちる部分が確かにある。
けれど、あたしはもちろん、紗桜もカカオもウェズリアの住人もオスガリアの住人も、誰も彼もが詳しいルクティアの情報を知らない。
ルクティアのことなんて、何もわからない。
紗桜に聞いても紗桜も天界には行ったことはなく、また天界との連絡が取れたのも今回の一度きりらしい。
神であるルクレーシャも、実は紗桜と同じように下界に遣わされた神であり、天界での記憶はほとんど薄れていて何もわからないようだった。
「とりあえず、カカオにこのことを報告する」
「その方がいいわね」
とにかく、これはもうあたしだけで処理していていい問題ではなくなった。
早く、カカオに伝えなければ。
素早く魔力を探れば、隣の部屋に戻ってきているようだった。
すぐにこの後訪ねよう。
その後は、どうしようか。
ともかく、情報がほしい。
今は誰もが知らなかったとしても、何か必ず情報があるはずだ。
そうだ、文献。
ウェズリアにはルクティアについての文献はあるだろうか。
とりあえず、もっとルクティアについて調べないと……。
「私もオスガリアでできるかぎり調べてみるわ。そして、戦力が必要になったらルクレーシャを寄越すわ」
「ありがとう」
紗桜に向かって微笑むと、紗桜はあたしの肩に手を置いた。
紗桜も優しく微笑んでいる。
「ムチャだけは、してはダメよ」
「うん」
「……じゃあね」
紗桜の分身は、サァ……とじょじょに薄れ、窓から光になって消えて出て行った。