あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]



 一通りざっと目を通したけれど……やっぱり時間をかけてじっくり見たほうがいいだろう。

 ルクティアの歴史の本は、思っていたよりページ数も文字数もあり、なかなか読み切れない。

それに文が全体的に古文のような文で堅苦しく、遠回しな表現で綴られているのだ。

注意深くゆっくりと読まないと内容が理解できない。

 内容はルクティアが出来た時のこと、そして歴代の皇帝たちがどんなものだったのか、事細やかに記されている。

 とりあえず、ルクティアが建国されたときの歴史のところを見ると……こう書かれていた。
 

 ***


 ルクティアができたのは、また地球はできていないほど遥か昔のとき。

 太古の昔から存在していた神たちが、実体を持ち始めた頃、彼らにとって住みやすい場所を作り上げたのがこのサーチェルで、その中でも神の地位にいたものはルクティアに、何の力を持たないものは、下界に落とされた。

 このときはまだ、オスガリアとウェズリアの区別はなかったらしい。

 それから何百年かすると、オスガリアとウェズリアにも変化が起こってきたらしいが、今はルクティア優先なので、後回しにする。

 ウェズリアやオスガリアに比べ、ルクティアの文明は当時、だいぶ発達していた。

 政治の仕組みも文化も完全に確立し、高度な文明と言えただろう。

 ルクティアは完全なる実力社会。

 力の強いものが高い地位につき、弱いものは低い地位につく。

 親がルクティアトップだとしても、世襲制などはないため、実力がなければその子供だとしても地位を受け継ぐことはできない。


 ***


 完全なる実力社会。

 やっぱり、ルクティアはすごく厳しいところなんだ……。

 でも……昔より、今のほうが厳しいのかな。

 ルクティアでは力がない者の他に、なにか罪を犯すと、下界へ落とされていた、と書かれている。

 しかし、今のルクティアはその逆だ。

 罪を犯しても、ルクティアから出ることは叶わない。

 またルクティアから出ようとした神、天使は、厳しく罰せられる。

 ルクティアから一生出ることを許されず、牢獄で一生を過ごすのだ。



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