あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]
翌日起きて訓練と他に魔女の仕事を終わらせると、またルクティアの歴史を読み進めはじめた。
カカオもあたしが今していることを察してくれているのか、魔女としての仕事を控えめにしてくれている。
と、いっても厳しくて大変な量なのは変わりないけれど。
だんだん読み進めることで、ルクティアの全貌がわかってきた。
ルクティアも、幾度となく戦争を繰り返し、そのたびに反乱、支配者交代が繰り返されている。
一番ひどかった時期は……今から一万年と少し前くらい。
そのときの支配者は……イシュルメ?って人みたい。
とにかく悲惨な状況だったと、ここには記してある。
実力社会であったルクティア。
けれど、そんなにすごい身分制度があったわけではなかった。
あったとしても、力を持っているかいないか、それだけ。
天使や神はみな力を持っている。
あるのは、下界人とは違うという圧倒的な
プライド。
そこの線引きがはっきりしていただけだ。
しかし、イシュルメの時代では──。
天使のランク付け。
ランクの下のものは、奴隷にされる。
王が気に食わなければ即刑罰。
独裁国になってたんだ……。
しかも、イシュルメって天使は……紗桜と同じで魔力も使えた歴代最強の天使だったとも書かれている。
天力を相殺してしまう魔の力をも携えた王。
本来なら天使とは、神の使い。
神に仕える側の天使が、それほどの力を持っていたなんて。
だから、神様でも逆らうことができなかったんだ……。
しかし、それも長くは続かなかったらしく、数十年後には、国は崩壊した。
でも、どうしてその独裁国が崩落したのかは、わかっていないらしい。
そこから先は、どのページにも書かれていなかった。
ただもうルクティアは独裁権を持つ者はできないように憲法を制定。
国民の選んだ者たちが、協力しあい、国を定めているようだ。
どんなに神聖で偉いものたちが集まっていたとしても、黒歴史は必ずあるんだ。