あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]


 城内は驚くほど広く、豪華絢爛なものであった。

 色相が派手なわけではない。

 先程も言ったように、この城の全て、透明な板を幾重にも重ねたことで白にも見えるような方法で建築されている。

 このサーチェルの三大国の中で最も歴史があり、その分他国よりも文明が進んでいるのだろうか。
 あたしが知る中で一番地球のあたしがいた時代に近い、いやもっと先の未来を思わせるような高度な技術。
 建築方法が思いつかないようなまさに幻想的な建物だ。

 太陽の光が当たる場所は光を反射する際にきらきらと虹色にすら光って見えた。

 さすが、この世界ができた時に創設された歴史ある国の中心だ。

 天力、魔力、関係なく、圧倒される。
 そんな気配を感じとる。

 使節団がようやく立ち止まってこちらを振り向いたかと思うと


「こちらへ」


 と扉を指し示す。

 中に目をやれば、それはなんというかとても懐かしいような見慣れたもの。


「ねえ、これって……?」
「やっぱり麻央もそう思う?」


 思わずと言った感じで呟くと、同じように悪化にとられた紗桜と声が重なった。


「「エレベーター……?」」


 まさかこの世界に来て目にするとは思わなかったよ。

 あたしたちが地球で日常的に使っていたそれと全く同じというわけではないけれど、役目としては同様のもののようだ。

 使節団はご存知でしたか、とだけ大して驚いた様子も見せずに呟いて、早く乗るように促す。


「こちらは昇降機です。城は広大ですのでこのようなものが開発されました」


 言われるがまま、乗り込むとエレベーターは緩やかに特に揺れもせずに動き出した。

 透明な板で覆われた四角の箱は二十人ほど乗れそうなほど大きい。

 現在はあたしとカカオ、紗桜、使節団の方々3名しかいないけど、ちょうどいいくらいの広さだ。
 たしかに翼が生えている天使の方々と乗るのならこれくらい広くないといけないのかもしれない。


「このようなものが、あるのか」


 物珍しそうにしているのは、唯一カカオだけだ。

 あたしたちは見たことあるからなぁ。

 新鮮味という点では確かに珍しさはないかも。ただこの世界で見ることになるとは思わなかったけれどね。

 というか、この世界の人たちは魔術やら天力による能力が使えるんだからわざわざエレベーターなんて使わなければいいのに。
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