天使が舞い降りたら…。
「それは出来ない。」
さっすが俊君!
「俺、もう行かなければならないんだ。」
「そんな…。」
「安藤、ありがとう。気持ちは嬉しいよ。」
「俊く~ん。」
桜の木の下でガックリと膝を落としてうな垂れる彩香の右肩に優しく一度手を置くと、俊君はくるりと回れ右して去って行った。
「さぁ、次は咲の番だよ。」
「うん。」
最後まで見届けると緊張感が一気に溢れて来た。
「大丈夫、俺がいるから。」
ただ伝えに来ただけのイチロウさんがとっても頼もしく見える。
イチロウさん…。
某国でベースボールを頑張っているイチロウさんじゃないイチロウさん…。
ELTのイチロウさんじゃないイチロウさん…。
平日、夜10時からニュースを読んでいるイチロウさんじゃないイチロウさん…。
黒界で黒いお金と黒い交際と黒まみれで選挙の時だけ目立つ愛の伝道師、イチロウさん…。
とっても頼もしいよ。
「咲、言い過ぎだぞ。」
「ゴメン…。」