天使が舞い降りたら…。
「このままじゃ、腹話術して終わりになってしまうぞ。」
イチロウさんが横目で睨んでくる。
「分かってるわよ。」
分かってるけど。
勇気が出ない。
好きって改めて伝える勇気が出ない。
「いいか、ジュースを持って帰って来たら告白するんだ。でないとまた延々と腹話術の練習で終わってしまうぞ。」
「は~い。」
「何だよ、その返事は?」
「だってぇ~、痛て。」
また叩かれた。
「誰の為にやってるんだよ。」
確かに。
ここに呼び出したのも。
思いを告げるのも。
幸せになるのも。
自分次第、だよね。
「ほら、帰って来たぞ。」
俊君が両手に缶ジュースを持って小走りに戻ってきた。