ツバサをなくした天使 〈あた魔女シリーズ〉
 

 互いに小指を出して、絡め合う。

 ふたりの、約束。

 未来への誓い。


「ありがとう……ショウ」


 私の心は、決まった。

 それからというもの、私たちは魔力の訓練に明け暮れた。

 魔力の量を多く消費する魔術ではなく、小さな魔術から基礎を固めていく。

 そうやってこつこつと積み重ねていくと次第に得意不得意がはっきりしてきた。

 私の得意な魔法は、炎系統。

 炎を具現化させ、それを応用して攻撃や防御に使ったりした。

 ショウを翼以外に変化させるにはなにが一番いいのか、ふたりで頭を悩ませた。

 炎以外も、操れるようにたくさん練習した。

 いくら私が強い魔力を持っていても、軍隊に入るためには、今の状態で全力を出しきれないといけないと思ったから。

 けれど、そんな時間も楽しくて、幸せだった。

 幸せな日々はあっという間に過ぎてしまう。

 気づけば、ショウと出会って半年が過ぎ去り、また季節の変わり目を迎えていた。

 当たり前のことが、どれだけ幸せで恵まれていたのか、それを私はもう少しあとで知ることとなる。

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