Knights of the Round
エッケと違って素手とはいえ、ウルナッハも巨人。

その力を以ってすれば、拳すら破城槌並みの武器となる。

一撃食らうどころか、掠めでもすれば終わりだ。

身に付けている甲冑など、巨人の力の前では何の防御にもならない。

一瞬にして意識を断ち切られてしまうだろう。

よくこんな巨人と、鍔迫り合いなどできる。

ケイは密かにガラハッドの勇気と力に感服する。

尤も、ガラハッドは聖剣レーヴァテインを持っているが、ケイのは名剣ではあるものの聖剣魔剣の類ではない。

巨人と切り結ぶには些か心許ないものがある。

故にこうして回避に徹するしかない。

チョコマカと逃げ回るケイに、ウルナッハも業を煮やす。

振り回す拳は激しさを増し、まるで暴風のように荒れ狂う。

丸太のような腕、無尽蔵の体力。

何れはこの豪打を受け、ケイも敗北を喫してしまうだろう。

ウルナッハの眼はケイのみを睨みつけている。

脇目もふらず、ただ一心不乱に目の前の女騎士を叩き潰そうと追いかけ続ける。

「だから敗北するのよ」

「!?」

ふと顔を上げるウルナッハ。

気が付くと彼は、ガラハッドと鍔迫り合いを繰り広げるエッケの寸前にまで誘導されていた!

既に振り回す拳は止まらず、彼は意思に反して、仲間であるエッケの側頭部に渾身の拳を叩き込む!

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