【短編】笑顔の行方
落ち着く場所



「花澄、遅いって! 授業終わったら行くって言っただろ? 早くしろよ」



教科書をカバンに入れていたわたしの元に竜也がやってきた。



「ちょ、ちょっと待ってよ!」




本当、帰ることになると早いんだから。


授業中はぐっすり寝てたくせに……。


あの柔らかい寝顔を横目で見てたら、いつの間にか授業が終わってて、
帰り支度が遅れちゃった。


竜也があんな寝顔を見せるから……。


遅れたのは無防備な竜也のせい……そうしておこう。







< 19 / 50 >

この作品をシェア

pagetop