【短編】笑顔の行方
「……わたしもね、ずっと竜也のこと、好きだったんだ」
そう、言葉にすると、恥ずかしくなる。
でも……竜也の言葉がこんなにうれしかったんだもん。
わたしの思いだってちゃんと竜也に言葉で伝えたい。
改めて言葉にすると、夢のような出来事が現実だと実感する。
「花澄……」
「ありがとうね。すごくうれしい……」
竜也が再びわたしを抱きしめる。
「オレもうれしい。花澄のこと、ずっと好きだったから……」
竜也の言葉が体中に染み渡る。
温かい竜也の胸の中に顔を埋めた。