【短編】笑顔の行方
「そうだっけ? 何か、うれしかったんだけど、恥ずかしくてつい……」
ペロっと舌を出す竜也を睨む。
「つい……じゃないよーあの時、どれだけショックだったか……」
多分、竜也には一生分からないよ。
あの後、大泣きで目もパンパンに腫れたんだから。
「ごめん……気恥ずかしいっていうか、クリスマスプレゼント一つで舞い上がってもな……と思って。
まさか、花澄がオレのこと、好きだなんて思ってなかったから……
でも、明日から早速、使うからさ」
「……うん」
竜也のその笑顔で思わずうなずいてしまう。
何だかうれしいような恥ずかしいような……。
まさか、去年のマフラーがまだ、竜也のところにあるなんて思ってなかったから。
てっきり、お兄さんにあげたと思ってた。