【短編】笑顔の行方
わたしは頬杖をついて、グランドを見た。
寒い中、ブレザーを脱いで、バスケットボールと走り回っている竜也。
バスケが大好きで、バスケになると、これ以上ないくらいいい顔をする竜也。
ゴールに入った瞬間のあのうれしそうな顔はバスケでしか見れない顔。
わたしの一番好きな竜也の笑顔。
一瞬にしてわたしの心を打ち抜く竜也の笑顔。
わたしにはそんな笑顔をさせる力がない……。
小さくため息をついて、吸い寄せられるように竜也の机に突っ伏した。