幼なじみを好きになって
気持ち



「好きです」

__えっ?


昼休み。
職員室で担任に数学準備室への使いを頼まれ、準備棟にやってきたときに聞こえた声。顔は見えないが、声質からして女の子が発したものだ。

__ちょっと、こんなところで告白しなくても……!

たしかに、普段ここは人気がないから告白にはもってこいだと思うけれど。
でも、よりによってなんで今なのよ。

悪態をついているものの、私は焦っていた。すぐそこに数学準備室があるのに、ドアを開けることもできない。いっそ気にせず開けてしまおうかとも思うが、開ける音で誰かがいると悟られ、せっかくの女の子の勇気が無駄になる可能性がある。

それに……。

他人の色恋沙汰は気になるもの。悪いことだとわかっているけど、この場から動くに動けないわけだし……などと理由をつけて、私はそのまま突っ立っていた。

__ごめんね、ここにいさせてね。
うまくいったら、心から祝福するから。


しかし、そう思ったのも束の間。

「ごめん」

……!

驚愕した。
告白がうまくいかなかったからというものもあるが、男の声に嫌というほど聞き覚えがあったからだ。


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