幼なじみを好きになって
「俺、好きな奴いるんだ」
__え?
今なんて?
大翔の好きな…人?
「…そっか。時間を取らせちゃってごめんね、ありがとう」
「いや、こちらこそありがとう」
頭が真っ白になって思考が停止しているが、周りも止まっているわけなどなくて。
ふと我に返ると、女の子が顔を手で覆いながら、私の目の前を通り過ぎて行った。
幸い、私の姿を見られることはなかった。
大翔は女の子とは逆の方向に歩いて行った。
その後ろ姿を見て、さっき告白されていた人が本当に大翔なのだと知った。
自分が大翔の声を聞き間違うはずないと思っていたが、今回ばかりは違っていてほしかった。