幼なじみを好きになって
5限が終わり、私は再び担任に教材を戻すように頼まれた。教材を持って廊下に出ると、大翔が屋上から帰ってきた。
姿を見て、思わず心臓がどきりとする。
「おお、陽菜」
「大翔…」
__だめだ。
いつものように、「またサボってたでしょ!」って言えない。
目だって、逸らしてしまう。
鼓動もいつもより速いのがわかる。
「なんだそれ?数学の教材か?」
「う、うん。先生に頼まれたの」
「もしかして、日頃の行いが悪いから頼まれたんじゃねぇの?ケケケ」
「そ、そんなことないもん…」
「この優しい大翔様が手伝ってやるよ!」
「い、いいよ。そんなの」
私は下に目を落として言った。
「……。なぁ陽菜、どうしたんだよ」
熱でもあんのか?
そう言って私の額に手を伸ばした__が。