幼なじみを好きになって



5限が終わり、私は再び担任に教材を戻すように頼まれた。教材を持って廊下に出ると、大翔が屋上から帰ってきた。



姿を見て、思わず心臓がどきりとする。



「おお、陽菜」

「大翔…」



__だめだ。


いつものように、「またサボってたでしょ!」って言えない。



目だって、逸らしてしまう。


鼓動もいつもより速いのがわかる。


「なんだそれ?数学の教材か?」

「う、うん。先生に頼まれたの」

「もしかして、日頃の行いが悪いから頼まれたんじゃねぇの?ケケケ」

「そ、そんなことないもん…」

「この優しい大翔様が手伝ってやるよ!」
「い、いいよ。そんなの」

私は下に目を落として言った。


「……。なぁ陽菜、どうしたんだよ」


熱でもあんのか?


そう言って私の額に手を伸ばした__が。

< 7 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop