幼なじみを好きになって
「いやっ!」
パシッ
ドサドサドサー…
一瞬静まる廊下。
「あ……」
「は、陽菜…?」
恥ずかしさから、私は思わず大翔の手を払いのけてしまった。
同時に落ちていった教材。
__とうとうやってしまった。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
「……っごめん大翔。私、別に何もないから」
いそいそと教材を拾い上げながら私は言った。
「は…」
「次もしかしたら遅れるかもしれないから、先生に言っといてねっ」
「お、おいっ!」
私は走っていった。
もう目など合わせられる状態ではなかった。
心が苦しい。
__私、なんでこんなにドキドキしてるの?
息を切らしながら、数学準備室のドアに手をつく。
「もうわかんないよぉ……」
この気持ちがなんなのか、今の私には、まだわからなかった。