BLUE STONE 壱





『〜〜っ』



自然に溢れてくる涙を
レツは何も言わずに、拭ってくれる


昨日は冷酷ですごい怖かったのに
今日は凄い優しいレツ


自分勝手なレツ
自己中なレツ


人の心に 素足で入ってきて
私の心をかき乱すーー…


だけど、不思議と嫌じゃなかった
それは心地よくて。


「っ!レツお前 ケイちゃん泣かしたのん」


と救急箱を持ったショウシは
レツを呆れた顔で見た後


「大丈夫?ケイちゃん」


と心配そうに私に聞いてくる。
私はブルブルと首を振って


『レツのせいじゃないよ』


と言葉を言った。
ショウシはそれ以上深く問い詰めないで
救急箱をレツに渡して部屋を出ていく


ショウシもレツも、優しくて暖かい…


「華衣、こっち向け」


とレツは言うけれど私は首を思い切り振り回す。
今の私の顔はどう見たって酷いと思う。


顔を俯かせる私の頭上で聞こえてきた大きな舌打ち。


「チッ 面倒くせぇ」


それだけ言ってレツは 細い指を、私の顎に乗せて私の顔を無理矢理自分の方へと押し上げた。


『っ…もう』


レツと目があった瞬間 私は
瞬間的に顔が赤くなるのを感じた。


顔を下に降ろそうとするがレツがそれを許すはずもなく


「手間掛けさせんじゃねぇブス」


『ブッ…』


と言い返そうと顔をグッとあげると
レツはフッと鼻で私を笑うと
左頬に、湿布を貼った。


それでか熱かった頰はだんだんと
冷たくなっていって心地良かった




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