最悪な初恋


いつまでもこうしちゃいられない。

自分を奮い立たせてエプロンをつけた。

お店に戻ると店内にお客さんはいなかった。

「何サボってるんだよ!」
『良いじゃん。今まだお客さんいないんだし!』

「お前は良いよな。力仕事が無くて!」

『何よ!私が楽してるみたいじゃない!それに、男の店員がいるのに看板娘が力仕事してたら、あんた私のファンを敵にまわすよ?』

「安心しろ。お前にファンなんていないから!」

『うっさい!さっさと力仕事すれば?夏はアイスコーヒーが売れるの!オフィスではコーヒー飲むの!だから豆が売れて当たり前でしょ?豆、ちゃんと運んでね!』

「そんなムキになんなくても良いじゃん。でも元気で安心した。」

『えっ?』

「なんか来た時ボーっとしてたから具合悪いのかと思った。」

『…別に平気だもん。』

「それなら良かった。でも遊園地もうすぐだろ?風邪ひくなよ!」

『…うん。』


「喧嘩は終わったかい?」

『…マスター!聞いてたんですか。』

「ちょっとだけ。麻衣子ちゃん。今日は暑いけど配達頼めるかい?」

『もちろん大丈夫です!』

今日も一日頑張りますか!


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