最悪な初恋



座ったままリュウ達を見ていた。近くだから会話が聞こえる。


「お前一人?寂しいな!」

「じゃあリュウも一緒に遊ばない?」

「そうだよ♪全然連絡くれないし。」

「ごめん。人待たせてるから。」

「彼女か?」

「えっ!そうなの!?」

女が焦る。
リュウがチラッとこっちを見る。
その視線を追って、みんなが私を見た。

「すげえ可愛い!あれが彼女?」

興奮気味にリュウに聞く。
勝てないと思ったのか女達は私を睨む。

「違う。友達。あと二人いるんだけど、観覧車乗ってる。」

「なんだぁ。彼女出来たって思ったから安心した。」

甘えた声でリュウに話す。
男達が近づいて来た。

「名前教えて?」

『内山麻衣子です。』

ニコリと笑った。

「内山麻衣子?」

『はい。どこかで会いましたか?』

「…いや。」

バァカ。会ってるよ。元クラスメートだよ。

『リュウ。私の名前でどうしてみんな驚くの?同姓同名に知り合いがいるの?』

「…うん。まぁね。」

『なんで黙ってたの?』

本当の事なんて言いたくても言えないよね。

《イジメて退学に追い込みました。》なんて。





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