最悪な初恋


「気付いてたよ。」

やっぱりね。

「俺にとってはただのゲームでも、麻衣子を深く傷つけたんだって思う。」

その通りだよ。

すごく傷ついた。

「でも俺はその事を忘れようとした。
…ひどい奴だろ?」

何も言えなかった。

何も言わなかった。

ただ黙って聞いていた。

「だから、麻衣子が目の前に現れた時は驚いた。
けど俺の知ってる内山麻衣子とは別人だから、
ただの同姓同名だと思ってた。」

『………当たり前よ。
私はあなたやクラスメートを見返したい一心で変わったの。』

「…俺のせい、だよな。」

『必死でダイエットした。辛かった。
でも私は悔しさをバネに努力した。』

リュウはずっと黙って聞いている。

苦労話を聞かせても、意味ないのに。

気付いてたなら、話しても意味ないのに。





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