最悪な初恋
私は、何処に行く訳でもなく、
何処に行きたい訳でもなく、
ただ、ただひたすら、
ボンヤリと歩いた。
気付くと駅の近くで、夕方過ぎの駅の近くはいろんなお店で賑わっていた。
すれ違うカップル達の楽しそうな笑顔だけが目につく。
幸せそう…。
一人の男が近づいて来た。
「一人?」
何も答えなかった。
「無視しないでよ♪」
チラッっと見てみた。
年は同じかちょっと上くらい。
茶髪で軟派な雰囲気。
顔は爽やか系イケメン。
って所。
「えっ!?すげぇ可愛い!一人で何してるの?」
『…別に。』
今は誰とも話したくない。
「今から一緒に飲みに行かない?」
『行かない。』
「即答?しかもテンション低っ!何?なんかあった?」
『…。』
「あったんだ。もしかして失恋?」
『……正解。』
「マジで?超可愛いのに!」
整形だからだよ。
「よし!そんな奴忘れる為にも飲もう!俺の奢り!」
一杯だけなら。
今はリュウの事は考えたくない。
そう思い、行きつけのバーがあると言う彼について行った。
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