最悪な初恋


「大丈夫ですか?はい、これ!」

と、笑顔で渡してくれた。

『ありがとう…ございます。』


あいつだ。忘れもしない。
あいつが私に笑顔を向けている。

以前のバカにした笑いじゃない。

信号が赤に変わった。
逃げられない。


「大丈夫ですか?危ないですから気をつけて下さいね。」

私だと気付いてない?
だから優しいのか。
確かこいつは外見重視だったな。


『本当にすみません。ありがとうございます。』

とびっきりの笑顔で言ってやった。

あいつと別れ、ウキウキで歩き出した。

人のいない路地裏に入って大笑い!
笑いが止まらない!

自分が散々バカにしてきた女とは知らず、鼻のしたなんて伸ばして!
最高!これで一週間は笑えそうだよ!


やっぱり神様は私の味方だったんだ!


でもまだだ。これは頑張った私へのご褒美。


長野リュウに復讐するまでは終われない。




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