最悪な初恋



一晩泣きつづけた。

翌朝、腫れた目をスプーンで冷やし、メイクをして覚悟を決めた。

いつも通り学校へ。

不安じゃないって言ったら嘘になる。

「大丈夫。」

ポツリとつぶやき、明るい私の仮面をつけて教室に入った。

「おはよう♪」

「「おはよう!」」

普通過ぎる二人の反応。

昨日本当にあんな事言ってたの?


わからない。

わからないよ。



それ以来、私は二人に本心を言わなくなった。
相談もしない。

ずっと明るい子を演じ続けた。

豊に何か言ったのかもしれない。

けどもうどうでも良い。

それで私を嫌いになるなら、私が男を見る目が無かったと思って諦めよう。


卒業が迫った二月のことだった。





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