最悪な初恋



嬉しいような、もどかしいような気持ちで教室に入った。

でもなんで優衣は泣いていたんだ?

教室には優衣といつも一緒にいる恵ちゃんと瞳ちゃんがいた。

優衣と一緒じゃないなんて珍しい。



「豊くん知ってる?」

急に話しかけられた。

「何が?」

「優衣って、大学生とかと付き合ってて、五股してるの。」

優衣が五股?
考えられない。

「何股まで出来るかチャレンジ中みたい♪」

…優衣がさっき泣いてた理由はこれか。

「最低だな。」

「でしょ?だからあんまり近づくとターゲットにされちゃうよ?」

「違う。最低なのはお前らの方。よく親友の悪口を平気で言えるな。」

「…!私達は忠告してあげてるの!」

「そうよ!」

「だって俺、あいつが告白断ってるの見た事あるぜ?」

「それは…きっと好みじゃなかったのよ。」

「サッカー部の紺野でも?」

紺野って言えば、頭良し、顔良し、性格良し。のモテる男。
告白を断ってるのを見たのは嘘じゃない。


この一言で二人は黙った。

やっぱり嘘か。


「今の、聞かなかった事にするから。」


そう言って教室を出た。






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