恋砂糖を一粒召し上がれ






『花菜先輩……そういうのずるい!

 そういう可愛いこと言われたら、俺も男で抱きつき我慢できなくなる…』







『今だって……そうしてるじゃない……?』







『だって、俺、男だから』






『……え………?』






『男だから、自分の惚れた女には自分の腕の中で幸せな顔をしてもらいたいんだ』








私、この人と恋がしたい。



キスもする、多分その先も。




だって、なんか私が彼に触れてみたいー…






私はそっと自分の腕を彼の背中に回す。


回した腕に力を込め、彼をきつく抱きしめる。








『………先輩?』





『うん、私もこの腕の中が一番幸せ。
 これからもこの腕の中で幸せを感じたい、そう思う』





この腕の中で、幸せな恋がしたい。







『じゃ、俺、頑張らないと!』




『………頑張る?』




『先輩にたくさんの幸せを感じてもらえるように、ずっと、ずっと先輩に抱きついてなきゃ!』




『……………』








……プッ。



言葉の代わりに笑いが零れてしまう。








『……先輩?』





『……ごめん。
 なんかすっごい一生懸命な今の賢人君といつもの強気な賢人が同一人物だと思えなくて……』






『先輩、男ってこんなもんすよ?

 好きな女には惚れてほしいから強引に行ってみたりもするけど。

 余裕のある態度ばかりじゃ花菜先輩は落ちてくれないでしょう?

 たまにはカッコ悪いくらい、必死で“好き”って想いをぶつけないと、落ちてくれない。


 俺、先輩が俺に落ちるならなんだってやりますよ?』















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