この道の先に…
言い出したらキリがないけど…。いろんなことが重なって、梨紗は行く予定じゃなかった場所に行くことになった。   
           
この時、あそこに行かなければ、幸輝にあんな思いをさせることもなかったのにね…。     
           
梨紗の方が先に着いた。
           
『××のとこにいるね』
           
メールを入れて幸輝が来るのを待つ。     
           
梅雨の時期特有のジトジトした空気が肌にまとわり付いて、不快感がした。          

「すいません…ここに行きたいんですけど…」 
           
梨紗よりも少し年上くらいの若い男に声をかけられた。        
           
その男は道を聞いてきたのに、地図やメモなどの目的地を印すものを、一切持っていなかった。 
           
不思議に思って顔を見上げると、男はニヤニヤ笑っている。      
           
  何この人。
  気味が悪い……
           
< 100 / 200 >

この作品をシェア

pagetop