この道の先に…
自分との思い出を全て片付けられた気がした。

「人の部屋見るなよ」

そう言ってドアを閉められてしまった。    

リビングのソファーに座る。一応お客ということで、幸輝はリビングと繋がる台所で飲み物を用意してくれていた。
           
会話はない。
           
梨紗はさっき見た部屋の光景が頭から離れず、何か話さなくてはなんて全く考えられなかった。 
           
梨紗の前に紅茶を出すと、幸輝はポケットを触り部屋に行った。すぐに部屋から出てくると、
           
「そこら辺にケータイない?」
           
そう言ってキョロキョロしていた。
           
梨紗はソファーにある幸輝のケータイを見つけた。
           
「あ。ここにある…」

ケータイを手に取った瞬間、張り裂けそうなツライ気持ちに、とどめをさされたような感じがした。

ない。
           
お揃いのストラップが付いていない。
           
機種変をしてもストラップは付け替えてたのに…。今は何も付いていない。

「使いたいんだけど…」
           
そう言って幸輝は梨紗の手からケータイを取った。

梨紗の中で何かが崩れた。

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